失われた世界を探して

ロストジェネレーションのしみじみ生活

酸湯魚の暖かいスープを飲みながら、遥か彼方のモン族たちに思いを馳せ、もっと遥か彼方にある宇宙と昔ながらのアニミズムについて考えたこと

2023/12/09 「酸湯魚」という料理があって、貴州料理だけどもともとは中国の少数民族であるモン族の伝統料理と言われている。見た目がちょっと辛そうだが、赤いのは発酵したトマトが使われているからであり、極端に辛いという訳ではなく、冬の寒い日に食べる…

現地の料理の数々に圧倒されつつ、何にこだわりを持つかで人間が生み出す文化って全然違って来るよなぁと思いながら、ドイツ製のカンペンケースを手にして大満足したこと

2023/11/04 二十数年前の若いころに勤めていた会社に、クモンさんという日本に帰化した台湾人の女性の方がいた。 大不況の中、採用大幅減の中で入って来た数少ない若手(­=徹底的にブラックにこき使われる消耗品)の僕の事を何かと気遣ってくれて、やれ昼ご…

香港で家人をエスコートしながら、その場所に辿り着くのが大変な場合もあるけど、やっぱり地元の人々が通うお店の料理が一番美味しいんだなぁと、改めて思ったこと

2023/10/06 国慶節という中国の長期連休を利用して香港へ行った。目的は5か月ぶりに家人に逢いに行くことだ。本当はもっと早く逢いたかったが、且つてのようにビザ無しで簡単に中国へは入って来れなくなったので、ビザがなくてもやって来れる香港で逢うこと…

天平時代より昔に作られた古い寺で台風の破片の生ぬるい風に吹かれながら、不条理に対する人間の思索を思い返し、やっぱりなぁんにも成長していない自分を軽く笑ったこと

2023/09/10 台風の季節到来で、先月からやたらめったら台風が現れて日本や大陸の沿海部にやって来て、大きな爪痕を残して行くが、僕がいるこの異国の山奥は、あまりに内陸過ぎて、途中にそびえる膨大な数の山々を台風は越えることが出来ず、結局、そのままの…

路上で賑やかにご飯を食べている異国の家族たちの様子を横目で見ながら、映画「シェルタリング・スカイ」に出てくる夫婦と三島由紀夫と、そして自分の大切な人を想ったこと

2023/08/03 中国の文化の大きな部分に食(しょく)が占めているのは有名だけど、実際にこちらで市井(しせい)の人々と接していて、彼らの食(しょく)へのこだわりを見せつけられると、なるほど、頭で理解している以上に、この国では「食べる」ということが…

電気自動車に乗りながら窓の外の風景を眺め、やっぱり数十年前にホリエモンが叩き潰された時点で、僕たちの国の運命は決まっていたんだなぁと思ったこと

2023/07/11 ほぼ10年ぶりの駐在先は山奥の田舎の町で、上海などと比べると都市とは言えないくらいどっぷりローカルな場所だ。それはいい意味でかなりのローカルということ。スタッフに招かれて行った地元の料理店で、僕はその迫力のある料理の数々と対面して…

機内食を食べながら「無限の青」を眺め、でも結局この地面にへばり付いてうたかたの命を生きて行くんだなぁと異国の地でしみじみ思ったこと

2023/05/16 いよいよ出国することになった。いろんな意味で長い旅になりそうだ。まだまだパンデミックの影響で現地への直行便が極端に少なく、会社の指示で僕は関西国際空港でもセントレアでもなく羽田から飛ぶことになった。しかもフライトの24時間前にPCR…

再びアジアの山奥へ行けと言われて慌てて準備し、いつの間にか半世紀近く生きていたので、改めてしみじみ人生を振り返ったこと

再びアジアの山奥へ行けと言われて、家に帰ってからその旨を家人に伝え、あらびっくり、と言っているうちに、一週間もしたらまた呼び出され、ちょっと事情が変わって、アジアの山奥じゃなくて南方の海の上にある国に行けと言われたので、家に帰ってからその…

映画「PLAN75」を観て、病院食のちらし寿司を食べながら1+1が明るく10,000に化ければいいのになって気まぐれで思ったこと

「PLAN75」という映画をAmazonプライムで観た。 75歳以上になったら、特に健康上の理由がなくても、希望すれば安楽死を選択できるという、国の制度の話だ。 もちろんフィクションであり、ある種のファンタジーだけど、予告編を見た時は、これってセンセーシ…

映画「ドライブ・マイ・カー」を観て駐車場バイトをしていた頃の青春の日々を思い出し、大切な人と気持ちを共有するって何か考えたこと

、 学生の頃、駐車場バイトというのをやっていて、マンションの機械式駐車場の受付をする仕事だった。駐車場はもちろんマンションの住人も使えるが、外部からやって来る客もいるので、そんな外部からやって来る客の乗りつけた車を、中に誘導したり、ターンテ…

飛鳥鍋を食べて古墳の周りを散歩しながら、「気まぐれ」の歴史に思いを馳せたこと

明日香村へ飛鳥鍋を食べに行った。その土地で古来から食されて来た牛乳の鍋である。 毎年冬になるとソワソワして、「飛鳥鍋を食べたいねぇ」なんて休日の何気ない会話が始まる。そして家人を乗せてビュンと車で走って食べに行くことになる。 その日は良く晴…

クリスマスソングを耳にしながらサンタの服の赤さに愛と寛大さを想い、キズナって哀しみの中で初めて生まれるよねって思い出したこと

街にはクリスマスソングが流れ、行きかう人々の表情もなんだかウキウキしていて、というのは昔の話で、地味な感じの年末だなぁ、なんて思いながら歩いている。だいたい、みんなマスクしていて、街を行きかう人々が笑っているのか、泣いているのかよく分から…

「絶望ライン工ch」を観ながら、アジアの奥地で食べたダイナミックな野菜炒めを思い出し「貧しさ」について考えたこと

もうすぐ師走である。この国はどんどん貧しくなって行くけど、そして、国ごとオワコンだなんて言われているけど、大丈夫、ショッピングモールに行けば、結構みんな大きな袋を抱えて楽しそうに買い物をしている。クリスマスケーキの予約も、お節料理の予約も…

芝居のチラシを見て、演劇と演技を考え、バイオリンと旧車の曲線美を思い出し、芸術の秋を感じたこと

古いアルバムの積み重なった隙間から芝居のチラシが出て来た。休日に部屋で衣替えをしているうち、アレ、これ懐かしい本だぞ、なんて読み出して、衣替えは遅々として進まず、ついでにCDラックはもう邪魔だから捨ててしまおうか、なんてあれこれ引っ張り出し…

嬬恋再訪で、父親の思い出とキャベツ畑の記憶の為に、軽井沢でペイネのグラスを買ったこと

秋の初めに嬬恋へ行った。再訪である。浅間山の麓(ふもと)一帯に広がるキャベツ畑を観たいと思っていたのだ。 夏前に初めて行った時はまだ時期が早過ぎた。キャベツは芽が出始めたところだった。でも、もしこれが全部丸いキャベツとして成長したら、きっと…

落ち込んだ時に効く魔法のコトバをきっかけに、人生で出会って来た料理の数々を思い出したこと

仕事でもプライベートでもなかなか上手く行かない、前に進んでいかない、苦しい、みじめだ、空しいなんて、腐るほど経験するのがフツーだけど、それが「フツーだよね」って寝そべりながらゲップでもするように言えるのは、その人が年をとっているからである…

たねやの末廣饅頭を食べながら、秀次の人生とKADOKAWA映画ばりのブルジョワ家庭のお坊ちゃんの事を思い出したこと

「たねや」の末廣饅頭(すえひろまんじゅう)が食べたくなって、家人を連れて近江八幡を訪れた。残暑のまっすぐな青空が頭上いっぱいに広がる休日だ。 近江八幡は八幡堀を挟んで古い町屋が建ち並ぶ美しい水郷の街である。豊臣秀次が築いた城下町を起源とし、…

「何かいいなぁ」と芸術の必要性と人類の滅亡について考えたこと

小学校5年生の時に現場学習でバスに乗って奈良に行き、薬師寺の本堂と東塔の美しい姿に息をのみ、土産物屋で見た赤膚焼(あかはだやき)の器(うつわ)の暖かい手触りとキッチュな奈良絵に感動した。なんて、どんだけジジ臭い子供だったんだと言われそうだけ…

映画「花束みたいな恋をした」を観てマグネシウムの燃焼と焚火を想像したこと

以前「明け方の若者たち」という映画を観て、作品の中に若者時代に暮らしていた明大前の風景が頻繁に登場し、ひどく懐かしい思いをしたが、人づてで「花束みたいな恋をした」という、これまた青春ど真ん中の恋愛映画も明大前が登場すると聞いて、Amazonプラ…

夏休みの読書と自転車とカルピスと、あの贅沢だった時間について思い出したこと

子供のころの夏休みの楽しみの一つが、「○○文庫の100冊」といった類の各出版社から夏に出される小冊子を書店からもらって来ることだった。カラフルでおしゃれなイラストがいっぱいのその冊子を何度も眺め、自分のまだ読んだことのない本の紹介文を読みながら…

風鈴寺から「カラマーゾフの兄弟」に出て来るイワンの悪魔の話に空想が飛んだこと

酷暑が続いている。涼を求めて風鈴寺へ行った。石段を上った先にたくさんの風鈴が吊るされ、チリンチリンと気持ちのいい音が真っ青な夏空に響いていた。 あぁ夏だなぁと、空の青を見上げた。 風鈴の音を聞いて涼しさを感じるのは日本人だけらしい。まぁ蚊取…

小浜の青空から恩讐の彼方に向かい、峠越えを運転しながら仇討について考えてたこと

せっかく梅雨が早く明けたのに、土日になると雨とか曇り空で、あぁ休日くらい突き抜けるような青空が見たいなぁ、なんて車で走り出した。途中のSAで天気予報を調べてみると、日本中が雨か曇りなのに、日本海側の若狭湾あたりだけがぽっかり晴れマークがつい…

「燃えよ剣」を見て久しぶりに司馬遼太郎の作品を思い出し、ついついサラリーマンの哀愁を思い浮かべたこと

歴史好きのご多分に漏れず司馬遼太郎が大好きだった。学生時代に本当に読み尽くして、エッセイも評論も随筆も全部読んで、文字になっているもので読んでないものはないくらい読んだ。それくらい好きだった。 作品の中でも、みんなに人気があるのはどうやら「…

「古寺行こう」を衝動買いして、仏像好きにはこの先も衝動買いしてしまうと痛感していること

書店の一角には必ず「週刊〇〇」という雑誌が平置きにされているコーナーがあって、懐かしのF1マシンなんかが付録でついていて(そういうのはもはや書籍というより、BOXのおもちゃだが)、要するに我々の衝動買いを誘うコーナーのようなものなのだが、先日、…

映画「浅田家」を観て、家族って何?のテーマを考えつつ、人生に理由を求めても幸せになれないよねってやっぱり思ったこと

昔はやたら洋画ばかりを見て、邦画なんてほとんど観ることがなかったのに、最近は妙に心に沁みることが多く、邦画浸けである。いいなぁと思う作品が多いのは、それだけ邦画の作り手の層が厚いのかなとも思う。 「浅田家」は有名な写真家の話だし、今はなき写…

ゴールデンウィークの真夜中に高速を走り出し、恋する場所でこんにゃくを食しながら、若かりし頃にブラジル人の友人と遊んだ日々を思い出したこと

ゴールデンウィークなんてどこに行っても渋滞で、人だらけで、宿もゴールデンウィーク価格とかで普段よりずっと高いし、寝て過ごそうと思っていた。 金曜日に緊急対応の続きを終え、連休に入る前日の一番幸せな夕方だったはずが、気付けば20時だ。みんな若手…

「走れ、絶望に追いつかれない速さで」と「二十歳の原点」とジェームス・ブラントに感動しつつ、ビールを飲んでムニャムニャ言って眠ること

なんだか90年代生まれの人たちというのはずっと年下なのだが、ひょっとすると大きく世の中を変えるのかも、と思うことが多い。音楽もそう。スポーツもそう。これまでの感性からスパっと飛び抜けた成果や作品が多く、いったい誰なんだって調べてみると、たい…

神保町の古本屋とドストエフスキーとベルジャーエフとソロヴィヨフのこと

子供のころから本が大好きで、図書館が小学生時代の僕のお気に入りの場所だった。そしてそのまま大人になり、読書好きは大学生の頃にMAXを迎えた。当時はヘビースモーカーだったから(その後やめたけど)、セブンスターをスパスパ吸いながら一晩中、煙でモヤ…

「ボクたちはみんな大人になれなかった」と「明け方の若者たち」と脂ぎった外国の友人のこと

サブスク全盛である。休みの日になんとなくテレビをつけても、テレビ番組を見ることはない。そのままチャンネルをアマゾンプライム、hulu、Netflix、と順番に流して行き、なんとなく興味があれば映画をだらだらと見て、何にもなければYouTubeに切り替えて「…

平凡な勤め人が時々ちょっと贅沢して普通に幸せを味わい尽くしたこと

平凡だけど幸せな休日を、お腹いっぱい味わいたいなと思い、実行してみる。そんなフツーの勤め人のフツーの休みの日の話である。 朝、目が覚め、まだシゴトの数字がぐるぐる回っている。あ、そうだ。あの国はまだロックダウンしているんだった。エアー便も空…

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