失われた世界を探して

ロストジェネレーションのしみじみ生活

九州の魅力は食いしん坊にとっては底がないということ

 九州一周旅行は博多の食い倒れから始まり、いよいよレンタカーに乗って走り出した。長崎方面に行くから、喜ぶかなと思って家人にハウステンボスで遊ぼうなんて誘ったら、「吉野ケ里遺跡へ行きたい」とのこと。そうか、この人は古代史が大好きで、一人で古墳巡りをやっている人だった事を思い出した。古墳のほとんどは小山の前に看板があってそこに解説が書いてあり、逆にそれを読まなければただの小山にしか見えない。が、そんな小山の前の看板の写真(どれも同じに見える)をたくさん集めているのが家人だ。僕はがぜん昭和の男子として歴史は戦国時代が大好きだから、あんまり古代に興味もなかったが、今回の旅の目的として家人の接待を最優先とし、僕たちは吉野ケ里遺跡に車を走らせた。

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すごく大きい!広い!砦の入り口からすでに期待でいっぱいだった。

上機嫌の家人に引っ張られてどんどん奥に進んでいく。弥生時代の住居が復元され、その当時の人々の暮らしが、出土品とともに分かりやすく紹介されていた。本格的な歴史学習の施設だ。

祭祀の様子や、政(まつりごと)をやっている様子が人形で再現されていて迫力満点。

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広大な施設の敷地を歩いていたら、小腹がすいたので併設されているレストランで混ぜご飯のおにぎりを食べることにした。ついでにムツゴロウの焼いたのを付けてもらう。ムツゴロウは真っ黒に焦げていて、あんまり味はしなかったけど、おにぎりは素朴な味で美味しかった。ムツゴロウって本当はどんな味がするのだろ?と考えながら、炭素の塊みたいなのをカリカリかじる。

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11月の九州は気持ちよい風が吹いていて、食べ終わるとまた僕たちは、のんびり古代が復元された風景の中を歩いた。芝生の上を、古代の景色の中を、本当にのんびり僕たちは過ごした。人ごみの中を観光したりするよりずっと贅沢な時間の味わい方だ。訪ねて大正解だった。

 その後、長崎に入って、平戸を見物し、平和記念公園で祈り、カステラを食べに行った。松翁軒という老舗のカステラ屋さんで、どうしても行きたかったところだ。2階がレストランになっていて、レトロでものすごく雰囲気がある。

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僕たちはこのレストランでコーヒーを飲みながら美味しくカステラを頂いた。ここのカステラは日本一、上品な味のカステラである。博多に行くたびにお土産で買っていたのでファンになった。旅の途中で贅沢な時間をゆっくり過ごす。そうそう、このレトロな感じは、横浜とか神戸にもあるセンスのいい老舗の喫茶店と同じ雰囲気だと思い、同時に、長崎も歴史のある、そして町全体が雰囲気のある港町であることを思い出した。カステラはどこまでも美味しい。

 その夜は佐賀県に戻り、嬉野温泉の宿で泊まった。和多屋別荘という旅館で、ご飯の評価が高かったから予約していたのだけど、案内された部屋に入ってビックリ。洗面台の染付や檜風呂の鄙びた感じが、ザ・和モダン。

お風呂は驚くほどとろみのある温泉だった。ゆっくりお湯に浸かって体をほぐし、夕ご飯を食べ、旅の疲れを癒した。たくさん歩いたからたくさん眠った。普段はベッドで寝ているから、時々こうして旅館の和室で布団の上で眠ると、溶けるように寝てしまえる。今日もいい1日だった。九州旅行サイコー!

 この宿の凄みは実は翌朝食べた朝食にあった。と、翌朝、思い知らされた。白がゆに好きなだけ明太子を乗せて、温泉卵を乗せて、イワシの昆布締めを乗せて食べるのだ。

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こうして九州旅行の3日目が始まった。いよいよ僕たちは南に向かう。数百キロを走って薩摩の国へ向かうのだ。胸のワクワクが止まらなかった。薩摩の国へ向かうのだ。

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